トラッドクライミングの魅力
トラッドクライミングのトラッドはtraditionalからきていることを今更ながら知った。 ナッツなどのプロテクションを自分でセットしながら登る、これが伝統的なクライミングというわけだ。その後ボルト設置によるスポーツ要素の高いクライミングの時代となり、一周回って最近では再びトラッドクライミングも光を浴び始めているように思う。 北海道ではトラッドという言葉はあまり聞かれない。クラックの方が耳馴染みが良いだろう。柱状節理のクラックじゃなくたって、ナチュラルプロテクションを使って登れば赤岩クライミングだってトラッドだ。でもハーケンを打ったり岩を傷つけるようなことをするのはトラッド的ではないので、そういう意味では赤岩クライミングはみんなが良く使う言葉「アルパイン」なのかもしれない。山の中ではないけど、ハーケンでも何でもアリで登るという意味において。 北海道ではあまり人気のないトラッドクライミングだが、何が楽しくて魅力なのか少し考えてみた。カムなどを自分で考えながらセットしていくのがボルトルートとの大きな違いで、自分で考える余地が大きいのが面白いと言う人もいるだろう。ただそれはゲーム性の話であって、一番は岩を傷つけないで登るということに尽きると思う。 岩場に当たり前のようにボルトがあって、何も恐れずクライミングを楽しめる。これは一見幸せなことのようで、実はクライマーの自由を奪っている。ボルトは岩を傷つけるだけでなく、ここを登りなさいとクライマーを縛り付けているからだ。勿論素晴らしいラインに適度なボルトが打たれていることに文句を言うつもりはない。クライミングを単にスポーツと捉えるならむしろそれで十分だろう。 ただクライミングにはスポーツ要素以外にも色々な側面がある。ただ単にムーブの強度を、グレードを上げるだけなら岩じゃなくても人口壁で事足りる。自然の岩をなんで登りたいのか、それを立ち止まって考えることがあっても良いと思う。ボルトに守られ何も考えずにチョーク跡をトレースするのが真のクライミングなのだろうか。美しい岩を極力傷つけずに、同時に身体的な困難に立ち向かっていく、それが本流(traditional)じゃないのか。 トラッドクライミングの魅力って何?というテーマだったが、まとめるとfreedomでtraditionalなところが良いよねってことにしておきます。