グレーとホワイト

  ヨセミテのエル・キャピタンは1958年にウォーレン・ハーディングらにより初登されました。かの有名なルート、The Noseの完成です。この初登には約1年半の歳月が費やされました。トライ中、公園のスタッフに登るのを止めるよう注意され一旦は降りるもののまた何食わぬ顔で戻って登り始めるといったエピソードもあったようです。今現在、ヨセミテは世界中からクライマーが集まる聖地となっていますが、最初はそんな始まりだったのです。

 ここ北海道においてクライミング行為がグレーなエリアはいくつかあります。その一方で、市町村と上手く連携を取ってクライミングが根付いているエリアもあるでしょう。そこには長い間地道な交渉を続けてきた努力があったと思います。クライミングを認めてもらうのには必要不可欠なプロセスでしょう。

 その一方でもう一つ重要なことがある気がしています。それは、クライミングそのものです。素晴らしいルートの開拓や初登、限界を押し上げるような挑戦、誰もが思いつかないような行動や創造、恐れを前にしても一歩前に踏み出す勇気。いつの時代もそういったものがクライミング自体を押し上げ、文化を醸成していきます。革新的になりすぎれば、色々な問題が起こる可能性がありますが、保守的すぎることも物事を前に進める上での障害となり得ます。今いるクライマーだけが利益を享受するのではなくて、もっと長期的で前向きな視点が必要です。そして挑戦自体を止めるべきではありません。

 クライマー自身が前を向いて登り続けなければ、グレーがホワイトになることは難しいのではと思います。物事を前に進めるのは情熱を持った人達だけです。


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