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アックスをやらない理由

正確にはアックスをやらなくなった理由と言うべきかもしれない。昔は山にも行っていたしアイスもやっていた。神居のドライに行ったのは2回くらいかな。今はどれもやっていない。 これから話すことは今アックスをやっている人にやらない選択を押し付けたいわけではない。そういう考えもあるんだくらいに読んでもらえたらいいと思う。 昔アックスを使うクライミングをしていたときは冬のアルパインクライミングのトレーニングだと思ってやっていた。具体的にはたぶん冬の利尻アルパインに行きたくてやっていたんだと思う。でもヨセミテのビッグウォールに触れてから、デカい壁をフリークライミングで登りたいと思うようになった。その頃からアイスやドラツーにはあまり興味がなくなってしまった。他にやるべきことがたくさんあるように思えたし、フリークライミングとそれらの間には大きな隔たりがあるように感じた。それと同時に自分の中で色んな違和感を覚えるようになった。 クライミング、特にフリークライミングは自身の肉体と岩とのぶつかり合いであり、身体一つで勝負するのが楽しいのだと自分は思っている。今あらゆるテクノロジーが発達しており、それは登山・クライミング業界でも同様だ。でも最新ギアを身にまとって難しいルートを登っても自分はあまり嬉しいとは思わないだろう。極端に言えば裸で岩を登ったやつがスタイルとしてはかっこいいと思う。 アックスはどこまで行ってもエイドだ。そんなことを言ったらクライミングシューズは、チョークはどうなんだという意見もあると思う。でも自分の中でアックスはガンダムみたいな感じで身体の機能を大幅に不自然に拡張しているように見える。あくまでかっこよさの話だからアックスが最高にクールだと思う人がいればそれはそれでいいと思う。ガンダムが好きな人もいればあしたのジョーみたいに拳で殴り合うのが好きな人もいるし単にそれだけの話しだ。 冒頭でヨセミテの話をしたが、フリークライミングは世界中に色んな岩場があって日本にも素晴らしいルートはたくさんある。普段から頑張っていればいつかは海外の大きな壁や素敵なルートに挑戦できる、そんな道筋が見えるからこそ頑張りたくなる。ドラツーを極めたらどんな世界が待っているのか自分にはよく分からないが、その世界は壮大で追求したくなるものなんだろうか。もしかしたらそういう道筋があるのかもしれないが、フィールド...

今年クライミングで後悔したこと

 クライミングをしていると、あるルート・課題を登れたときに嬉しいはずが逆にモヤっとしてしまうことはないだろうか。今年そのモヤモヤを何回か経験して、でも登れたからいいやという風に蓋をしようとしていた。だけどやっぱりそれを明るい場所に引っ張り出して向き合って打ち克ってこそのクライミングじゃないかと思い、あえて文章にしようと思う。 一つ一つは些細なことなんですけどね。 モヤモヤその①はサンピラーを登ったときに最上部で後ろ側の壁に足をついて休んだこと。 正直に言うとそこで休まないと腕のパンプで確実に落ちていた。トポには限定はなしって書いてあったし、何よりこのルートを早く終わらせたかった。見晴らしは通うにはいささか遠すぎるし、冬が迫っており来年に持ち越すのはなんとしても避けたいと思ってしまった。 それで最後の最後に悪魔と取引をしたわけだ。レッドポイントという成果を手にした代わりに心にはモヤモヤが残ってしまった。 またサンピラーを登り直すかどうかは分からないけど、できればやりたいという気持ちが今は強い。それだけ思い入れもあり素晴らしい内容のルートなので。 モヤモヤその②はレラを登ったときに左ヒールムーブを諦め下のスタンスを踏んだまま上のホールドを取りに行ったこと。つまり他の人が苦戦しているムーブをやらない選択をしたということだ。 これは賛否両論あると思う。クライミングは万人が同じムーブになることはない、その一方でルートや課題によってはある特定のムーブが鍵になることもある。 王道ムーブを避けて他のムーブを探すことは一種の逃げのように感じるときがある。もちろん身長やリーチによってそれぞれ得意不得意はあるのだろうけど。 さらにそのムーブを諦めたことで、課題は登れたとしてもクライミング自体は上手くなっていないんじゃないか、自分の弱点から目を背けたんじゃないかとも思ってしまう。 人によってはこっちのムーブのほうがやりやすかった〜くらいの話なのかもしれませんけどね。 他にも完登時にスタンスと間違えてボルトを一瞬踏んでしまったりとかもあったけど、まあそれはほんとに些細なことかなぁと。 とにかくモヤモヤしたらもう一回登るしかないと自分は思ってます。でも来年も色々チャレンジしたいので時間があったらねくらいの気持ちでいた方がいいのかもしれない。 登ったとき晴れ晴れとした気持ちになる回数が来...

2024クライミングまとめ〜ボルダー編〜

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 いよいよこのまとめシリーズも最終回。 ボルダーはクライミングの中でも一番好きなジャンルかもしれないが、いかんせん他にもやることがあってなかなか集中して取り組めてはいない。そんな中でもいくつか素敵な課題を登れたので紹介したい。 ・イオマンテ 1級(毛無ボルダー) まだそれほど多くの人には知られていないだろうこの課題。札幌近郊の毛無峠の山中に佇むハイボルダーだ。最大の核心は高さからくる恐怖心で残雪期に登ったが、それでもかなりの覚悟が必要だった。内容は文句なしの1級課題だろう。 ・テロリスト 7c 2段(アヨロボルダー) アヨロの有名課題の一つ。一手一手の保持力と体幹の強さが必要なこの課題、なんとか通い詰めて登ることができた。右手首を痛めたりもしたが、これを登って一回り成長できた気がする。微妙なスタンスの違いで次の1手が取れたり取れなかったりと、クライミングの奥深さを知れた。 ・Onion 6c+ 1級(恵庭岳ボルダー) スタート核心なこの課題、以前にパキった因縁の課題でもある。最後までスタートには苦労したが、良いスタンスが見つかり無事完登することができた。岩がヌメりやすく上のマントルも悪いので気が抜けない。 ・ニューハスラー 6c 2級(神居古潭) グレードは2級だが、かなり高さがあり覚悟が必要なこの課題。マット2枚は用意したが、最後の一手は決死の覚悟で取りに行った。個人的には神居古潭の中でもかなりオススメしたい課題だ。 来年の目標 ・スーパーノバ 7b+ ・ブラックホークダウン 7c+ ・コノエオサレベツのプロジェクト

2024クライミングまとめ〜スポートルート編〜

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 今回はスポート(ボルト)ルートのまとめだが、まとめるほど本数は登れていない。 色んなジャンルをやろうとすると、どうしても分野ごとの濃度は薄くなる。 ただ1年間同じ岩場の一つのルートに固執するよりは、短期集中で登るスタイルのほうが性に合っているし、成長につながると思っている。数日かけても登れないルートはまだそれを登る実力がないということだ。ありきたりな言葉ではあるけれど。 今年は春と晩秋に義経岩、秋にかけては朝日の岩場と見晴らし岩に通い何本か成果があったので紹介していきたい。 ・牛若丸 5.11d おそらく11dど真ん中のこのルート、苦戦している人も多く、簡単だったという話はあまり聞かない。核心部の強度は高く、失敗するとまあまあ落ちるので恐怖感もそこそこある。中級者の目標のようなルートであり、登れたときはとても嬉しかった。 ・朝焼け 5.10b 士別朝日の岩場に今年作った新作ルート。簡単なルートを増やしたいと思っていたときにたまたま掃除したら面白いラインとなった。身体の向きを工夫しないと効かないホールドや、面で乗るような足さばきなど石灰岩の特徴が存分に味わえる。13クライマーも苦戦していたが、10bの範疇で良いだろう。ただ簡単ではない。 ・モーニンググローリー 5.11c こちらも朝日の岩場の新作。おそらく人生の中で最高傑作と思われる。下部から中盤までの思い切った動きと上部にかけての繊細な動き、最後にルートの核心が待っており、変化に富んでいる。綺麗なフェースを直上していくライン取りも文句なし。朝日の11台と言えばこのルートと胸を張って言える、そんなルートだ。 ・サンピラー 5.12b/c 言わずとしれた見晴らし岩の有名ルート、カンテをわしわし豪快に登っていく。持久力には自信がなかったが、苦手克服のために取り組んでみた。なかなか落とせず、気温も下がりもう駄目かと思ったが最後になんとか登ることができた。また忘れた頃に登りたくなる思い入れのあるルートとなった。クライミングとは関係ないが、キャンプ場のカメムシの大量発生によりテントがカメムシだらけになったのも今となってはいい思い出だ。 来年の目標 ・ジュスティーヌ 5.12d 目標というより宿題。春までにトレーニングを積んで余裕を持ってRPしたいところだ。 ・マグニチュード 5.12d 今年数回お触りはしてみたがなか...

2024クライミングまとめ〜トラッド編〜

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 早いもので2024年も残り僅かとなった。ここで今シーズンの振り返りをジャンルごとにしていきたい。 今年の夏はほぼクラックに捧げたと言っていいだろう。苦手な細めのクラックを中心に何本か印象的なラインが登れたので紹介したい。 ・ベスピュラ 5.11b 言わずとしれた層雲峡クラシック。ボトミング主体のフィンガークラックだが持久力も試される。フィンガークラックで11台を目指すならまずはこの一本をおすすめしたい。 昨年は登れずじまいで、今シーズンリベンジ1回目で完登することができた。昔全く刃が立たず苦労した思い出もあり、心に残る一本だ。 ・ディア・フィンガー 5.11b 天人峡楽近エリアの看板ルート。パワフルな出だしと中間部までのレイバック主体のムーブに前腕が消耗させられる。プロテクションも確実に決める必要がある。 楽近エリアは夏場とにかく暑い。日差しを遮るものがなく、直射日光の中なんとか登ることができた。開拓時代、相棒が完成させた思い出深い一本でもあり登れて嬉しかった。 ・龍樹 5.11d 層雲峡の極細極悪クラック。下部は指がところどころしか入らず、ナッツや小さなカムで登るのがおっかない。上部はジャミングが良く決まるのだが、何故か消耗しやすく何度も落ちた。 夏場しつこく通い続けてなんとか登ることができた。プロテクションもムーブもほぼ固めないと登れなかったので、こういうルートをオンサイトできるようになれればいいなぁ。 ・黒雷 5.11a 天人峡の二枚看板のうちの一本(もう一本は春琴抄)。文句なし、ワールドクラスのラインと言っていいだろう。フィンガーから徐々に広がり延々と続くシンハンド、その長さ、厳しさだけではなく、見た目もかっこいい!クラックが楽しくなること間違いなしだ。 このルートは30m以上あるので、70mロープかバックロープを引いて登ることをおすすめする。 来年の目標 ・ロングナイト 5.12b カムが足りない問題。追加購入要検討。 ・幻プロジェクト ロングナイトが終わってからかなぁ。 ・シューティングスター 5.11+ やりかけ。リードだと怖そう、、 ・オフィズスマシーン 5.10d 今年は参拝見送ってしまった。来年はできればトライしたい。 ・マーラータワー 来年こそは完成させたい。完成すれば道内最高傑作マルチピッチ。

2024/12/2 義経岩 シーズンラスト

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 いつもの中山峠もすっかり冬景色。義経の林道も雪が積もっていたが、なんとか車で駆け上がる。着いてみると岩はかぴかぴで日差しも温かい。意外と信じて来てみるもんだ。 いつものように南中央でアップして、ジュスティーヌをトライ。 子ジュス部分はサクッと抜けることを心がけている。終了点付近で心拍数が落ち着くまでレスト。そこからは決まった手順を迷いなく。前回落ちたマントル抜け部分もしっかりこなし追加でレストするが、完全には回復しきらない。トラバースに突入し見えないスタンスを感じながら足を入れ替えようとした瞬間、手の力が抜けてしまいフォール。 あと2手だった。でもここがシビアなところで、短いようで先は長い。 下で応援してくれた方、一緒に登ってビレーしてくれた皆さまには本当に感謝。 ぎりぎり届かなかったけど、もっと強くなって帰ってくるというモチベーションにはなる。 これにてロープシーズンは終了。これからはボルダーと年始の大堂海岸遠征が待っている。 ボルダーも目標があるのでね。頑張らないと。